こんにちわ!「パチンコ、負けない立ち回りと確率の密接な関係」の管理人、友紀です。
前回の記事では、パチンコを1日プレーしたとき収支のばらつきと勝率についてお話しました。
パチンコの1日の収支は大当たりの引き次第でかなりばらつきます。このため、自分が打った台の回転率が多少変化しても勝率にそれほど大きな差は出ませんでした。回転率がボーダーを10%上回っても勝率は51%にしかなりませんでしたね。
しかし、パチンコの年間収支になると回転率による収支の差ははっきり出てきます。今回はパチンコの年間収支のばらつきと勝率についてお話します。
まず、はじめにパチンコの年間収支の確率分布(各収支の発生頻度)の例として、スーパー海物語M55Wについて計算した結果を示します。収支の確率分布の計算については前回の記事を参照してください。計算条件ですが、総回転数nは普通の会社員が1年間に消化できるプレー数としてn=180000回転としました。スーパー海物語M55Wの大当たり1回当たりの平均出玉Dは1700個、初当たり確率pは1/369.5、連チャン継続率Pcは0.695です。換金率は前回の記事と同様に等価交換(4円)とします。以下に回転率が丁度ボーダーラインだった場合について計算結果のグラフを示します(縦軸の値に100を掛けると%になります)。

回転率がボーダーだった場合の年間収支は−200万円〜+200万円くらいの範囲に分布します。前回の記事で説明したパチンコの平均収支と標準偏差の計算式から、平均収支は±0円、収支の標準偏差は約64万円になります。グラフのような山型の確率分布は標準偏差の6倍の範囲に納まることが知られています。標準偏差の6倍は約384万円ですから、分布の幅と一致します。
普通の会社員が1年間パチンコを打ったら380万円くらいの収支のばらつき(リスク)があるということを憶えておいてください。
収支の確率分布の形を見ると、前回の記事で説明した1日の収支の確率分布のような偏った形ではなく、平均値である±0円を中心に左右対称のきれいな形になっています。いわゆる正規分布の形になっています。勝率(収支がプラスになる確率)も丁度50%です。
パチンコの収支を含め、世の中の多く現象の確率分布は山型の形になりますが、試行回数(パチンコの収支の場合は総回転数)が少ない場合は偏った形になることが多く、試行回数が多くなるほど左右対称の正規分布の形に近づいていくが知られています。確率分布の形がこのように変化することは中心極限定理と呼ばれる数学の定理で証明されています。知識として憶えておいてください。
収支の分布の形がパチンコを打つ期間によって変化することの意味を考えて見ましょう。パチンコの1日の収支は前回の記事で説明したようにプラス収支側へ尾を引いたような偏った分布でした。回転率がボーダーの場合、平均収支は±0円ですが、勝率は44%と勝つ人より負ける人の方がお多くなるという結果でした。1日の収支の分布の形は負ける人は多いが、一部の人が大勝ちすることで収支が±0円(回転率がボーダーの場合)になるという特徴を示しています。
パチンコの1日の収支は大当たりの引き次第で大勝ちすることもありますが、1年間といった長期に渡って毎日パチンコで勝つことなど不可能です。また、パチンコで1年間毎日負ける人もまずいないでしょう。このため、パチンコを打つ期間が長くなってゆくと、勝ち負けを繰り返し、収支が平均化されていきます。そしてある程度の期間に達すると、回転率がボーダーの場合、収支がプラスの人とマイナスの人の数は丁度半々になり、上記のグラフのような確率分布になります。
収支のプレー期間による変化は分布の形だけでなく、収支のばらつきにも影響します。収支のばらつきは前回の記事で説明したように、大当たり回数のばらつきで決まります。スーパー海物語M55Wを丸1日(n=2500回転)打った場合の平均大当たり回数Haveは22回、大当たり回数の標準偏差σHは11回でした(記事「パチンコを1日打ったときのトータル大当たり回数」参照)。平均大当たり回数に対するばらつきの大きさ6σH/Have(大当たり回数の確率分布の幅を平均値で割った値)を計算すると3.0となります。つまり、1日の大当たり回数は平均値に対して300%のばらつきを持つことになります。
スーパー海物語M55Wを1年間(今回のケースではn=180000回転)打った場合の平均大当たり回数Haveは1597回、大当たり回数の標準偏差σHは94回でした(記事「パチンコの年間トータル大当たり回数とばらつき」参照)。平均大当たり回数に対するばらつきの大きさ6σH/Haveを計算すると0.35となります。つまり、1年間の大当たり回数は平均値に対して35%のばらつきを持つことになり、1日プレーした場合の1/8以下まで小さくなります。
ですから、年間収支の確率分布は1日の収支の確率分布に比べてかなりシャープな分布になっていると言えます。つまり、年間収支は1日の収支に比べて平均収支(期待収支)に近い金額になり易いことになります。
この分布がシャープになるということは、回転率による収支の差がより明確になること意味します。以下のグラフに、台の回転率をボーダーラインxbから±10%変化させたときに、スーパー海物語M55Wの年間収支の確率分布がどのように変化するかを示します(縦軸の値に100を掛けると%になります)。

前回説明した1日の収支では回転率が変わっても、各回転率の収支分布の大部分が重なっていました。それに比べて年間収支では各回転率の収支分布は重なっている部分が少なくなっています。分布がシャープになり、回転率による差がはっきり現れています。
これだけ回転率毎の収支分布が分離していると、回転率による勝率の差もはっきりと出てきます。以下の表にスーパー海物語M55Wを等価交換で1年間打った場合の平均収支、標準偏差、勝率を回転率xb±10%についてまとめて示します。
回転率x | xb-10% | xb | xb+10% |
回転率数値 | 14.9 | 16.6 | 18.2 |
平均収支/万円 | -120 | 0 | +99 |
標準偏差/万円 | 64 | 64 | 64 |
勝率/% | 3 | 50 | 94 |
回転率がボーダーを10%下回ると年間期待収支は−120万円で勝率は3%になります。1日の収支ではボーダーを10%下回ったとしても勝率が37%もあったのに、年間ではたった3%です。このことから回転率がボーダーを超えないと年間収支で勝つのは難しいことがわかると思います。運だけでは長期的な収支をプラスにはできません。
回転率がボーダーを10%上回ると年間期待収支は+99万円で勝率は94%になります。1日の収支ではボーダーを10%上回ったとしても勝率が51%にとどまっていましたが、年間収支になると回転率がボーダーを超えた効果がはっきり現れています。
以上のようにパチンコの収支や勝率は短期的には大当たりの引きに、長期的には回転率に支配されるようになります。私たちプレーヤーは大当たりの引きをコントロールすることはできません。一方で、自分が打つ台の回転率は、釘を読んだり、自分が通うパチンコ店の回転率データを自分自身で記録、蓄積していくことで、台選びの精度を上げ、ボーダー以上に持っていくことは可能です。
パチンコで負けないということは、結局のところ、自分が打つ台の回転率がボーダーを超えるように普段から立ち回り、長期的な収支をプラスにすることと言えます。ではどの程度の期間ボーダーを超える台を打ち続けたら勝率は100%になるのでしょうか。次回は勝率とプレー期間の関係についてお話します。
今日はここまで!