パチンコを1日打ったときの収支のばらつきと勝率

パチンコを1日打ったときの収支はどの程度ばらつくのでしょうか?

こんにちわ!「パチンコ、負けない立ち回りと確率の密接な関係」の管理人、友紀です。

前回の記事では、ボーダーラインとパチンコの期待収支の関係についてお話しました。

パチンコの期待収支は、総回転数、台のスペック、ボーダーラインと実際に自分が打つ台の回転率との比率で決まるわけですが、期待収支はあくまで収支の平均値であり、実際の収支は大当たりの引き次第で大きく変化します。

ですから、パチンコの収支を予測する上で、収支が期待収支を中心にどの程度ばらつくのか把握しておく必要があります。

収支のばらつきを知るには収支の確率分布、つまりある収支がどの程度の頻度で起こり得るかを計算で求める必要があります。それでは実際に計算を行ってみましょう。今回の記事では計算が比較的簡単な換金率が等価交換のケースについて説明します。

等価交換の場合、パチンコの収支は差玉に換金率の4円を掛ければ計算できます。大当たり1回当りの平均出玉がD、回転率がxの台で総回転数n回転プレーし、トータル大当たり回数がH回だった時、等価交換における収支(ここではBとします)は以下の数式で表されます。

パチンコの等価交換における収支の計算式

数式の()内がトータル出玉からトータル投資玉数を差し引いた差玉になります。パチンコを打つ時の条件である平均出玉、総回転数、回転率が決まっている場合、この数式の中で収支のばらつきに影響するのはトータル大当たり回数Hのみになります。

つまり、以前の記事でお話したトータル大当たり回数の確率分布が、収支の確率分布を決めることになります。以前紹介したトータル大当たり回数の確率分布の計算式を用いると、収支がある値Bになる確率は、台の初当たり確率をp、連チャン継続率をPcとして以下の計算式で表されます。

パチンコの等価交換における収支の確率分布の計算式

ただし、Hが0回の場合(大当たりが全く引けなかった場合で、この時収支は最低値B=-1000n/xとなります)に限っては、その発生確率は以下の数式で表されます。

パチンコの等価交換における収支の確率分布の計算式2

この計算式を使用する場合の注意ですが、Bの値はHが0以上の整数になる値のみ許されます(任意のBについて発生確率を計算できるわけではありません)。

さて、非常に複雑な計算式です。数式を憶える必要はありませんが、この確率分布式から求まる平均収支と標準偏差の計算式は重要なので憶えておいてください。

まず平均収支(ここではBaveとします)ですが、これはトータル大当たり回数の期待値Haveと等価交換のボーダーラインxbを用いて以下の数式で表されます。

パチンコの等価交換における平均収支の計算式

平均収支は前回の記事で説明した期待収支の計算式に換金率4円を代入したものと同じです。次に収支の標準偏差(ここではσBとします)ですが、これはトータル大当たり回数の標準偏差をσHとして以下の数式で表されます。

パチンコの等価交換における収支の標準偏差の計算式

収支の標準偏差は以前説明したトータル大当たり回数の標準偏差σHに、換金率の4円と平均出玉を掛けると求まります。

収支のばらつきを調べるための数式がすべて揃いましたので、具体例で収支の確率分布を計算してみたいと思います。スーパー海物語M55Wについて計算します。総回転数は1日フル稼働を想定してn=2500回転とします。スーパー海物語M55Wの平均出玉Dは1700個、初当たり確率pは1/369.5、連チャン継続率Pcは0.695です。台の回転率が丁度等価交換のボーダーラインである16.6だった場合について、収支の確率分布を以下のグラフに示します(縦軸に100を掛けると%になります)。

パチンコの等価交換における収支の確率分布のグラフ

回転率が丁度ボーダーだった場合の1日の収支は−15万円〜+30万円くらいの範囲に分布します。このような山型の確率分布の幅は標準偏差の6倍くらいになることが知られています。収支の標準偏差を上述の数式で計算してみると約75000円になります。この6倍は約45万円ですから、分布の幅と一致します。

収支の標準偏差の6倍の金額は、パチンコを打つときのリスクの大きさを表しますので、良く憶えておいてください。

回転率が丁度ボーダーラインだった場合、平均収支は±0になりますが、収支の分布の形を見ると、分布のピークは±0ではなくマイナス収支側にずれたところにあり、分布のすそ野はプラス収支側へ尾を引いたような分布になっています。このような偏った分布の形になるのは収支に下限はあっても、上限が無いためです。

収支の下限は上述の大当たりが一度も引けなかった時の収支(-1000n/x)円と決まっています。一方で、収支は大当たりの引き次第でいくらでも高くなるため、上限が無く分布はプラス収支側へ尾を引くことになります。(厳密にはパチンコ店の営業時間で上限が決まりますが、1日中出っぱなしになることはまず無いので、上限を考える必要はありません)。

収支に上限が無いといっても、収支が+30万円を超えるようなことは、発生確率から言って滅多にありません。

グラフで収支がゼロ以上の範囲の発生頻度をすべて足し合わせると、1日打った場合の勝率になります。スーパー海物語M55Wで回転率がボーダーの台を等価交換で丸1日打った場合、勝率は44%になります。

「回転率がボーダーの台を打ったら勝率50%じゃないの?」と思う人がいるかもしれませんが、50%と言うのは1年間程度の長期間打った場合の収支がプラスになる確率であって、1日打った場合の勝率はそれほど高くなりません。

これは上記のように収支の確率分布が偏っているためです。スーパー海物語M55Wで回転率がボーダーラインの台を1日打った場合の収支を日々記録していくと、感覚的には、普段は負けることが多いけど勝つときはたまに大勝ちすることがあって、収支は±0付近でうろうろすると言った感じになります。

次に、台の回転率をボーダーラインxbから±10%変化させたときに、スーパー海物語M55Wの収支の確率分布がどのように変化するかを以下のグラフに示します(縦軸に100を掛けると%になります)。

パチンコの等価交換における収支の確率分布のグラフ2

台の回転率が高くなると、収支の分布がプラス収支側へ移動するのが分かります。つまり回転率が高くなると平均収支と勝率が高くなります。ただし、分布の形自体は変わりません。回転率が変わっても分布の幅(収支の標準偏差)は変化しないのです。

このことは、上述の収支の標準偏差の計算式の中に、回転率が含まれていないことからも理解できると思います。回転率は期待収支と勝率に影響し、収支のばらつきの大きさには影響しないことを知っておいてください。

以下の表にスーパー海物語M55Wを等価交換店で丸1日打った場合の平均収支、標準偏差、勝率を回転率xb±10%のケースについてまとめておきますので参考にしてください。

スーパー海物語M55Wの1日の収支と勝率
回転率xxb-10%xbxb+10%
回転率数値14.916.618.2
平均収支/円-170000+14000
標準偏差/円750007500075000
勝率/%374451


回転率が10%変わると、確かに期待収支や勝率は変化しますが、回転率による収支や勝率の差は1日打った程度ではそれほど大きくありません。上記のグラフで各回転率の収支分布の大部分が重なっていることからも、回転率による1日の収支の差があまり無いことは分かります。

これは収支の標準偏差が、回転率による平均収支の差に比べてずっと大きいためです。つまり1日のパチンコの収支は回転率の差よりも、大当たりの引きに影響されるのです。

しかし、年間収支のようなある程度長い期間の収支になると回転率の差がもろに収支に影響するようになります。

次回の記事では平均収支、収支のばらつき、勝率がパチンコを打つ期間が長くなるとどのように変化するのかお話ししたいと思います。

今日はここまで。